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『ひこばえ』(上)(下)重松清を読んだ感想【ホントの息子とは】

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どうも大福丸です。

今回は重松清さん『ひこばえ』(上)(下)の感想文です。

たった2日間で読破してしまった名作。忘れた頃にもう1回読みたい。年を重ねて読むと感想も感じ方も変わるとは思うけど、今の年齢で読んでよかったと思った。

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おすすめしたい人

  • 生きることを考えたい人
  • 血の繋がりを考えたい人
  • 泣ける読書をしたい人
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「ひこばえ」のテーマ・あらすじ

生きる、つながっているということをテーマに書かれている。老人ホームで働く洋一郎の父の過去だけでなく、「家族」ってこうだよねと思えるような内容。

小学校2年生の時に別れたきりの父が亡くなった。報せを受けた長谷川洋一郎は、48年間の空白を胸に、父の人生に向き合おうとする。父は、死の直前に「自分史」を書こうと思い立っていたらしい。なぜ? そして、誰に読ませたかったのか。

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著者紹介

1963(昭和38)年、岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。

出版社勤務を経て執筆活動に入る。1991(平成3)年、『ビフォア・ラン』(ベストセラーズ、現在は幻冬舎文庫)でデビュー。

著書は他に、『ナイフ』(新潮文庫、坪田譲治文学賞)、『定年ゴジラ』(講談社文庫)、『エイジ』(新潮文庫、山本周五郎賞)、『ビタミンF』(新潮文庫、直木賞)、『隣人』(講談社、講談社文庫で改題『世紀末の隣人』)、『流星ワゴン』(講談社文庫)、『きよしこ』(新潮文庫)、『トワイライト』(文春文庫)、『疾走』(角川文庫)、『その日のまえに』(文春文庫)、『カシオペアの丘で』(講談社文庫)、『とんび』(角川書店)、『十字架』(講談社、吉川英治文学賞)など多数。

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印象に残った言葉

さまざまなことが根本的にずれている相手に、「あなた、おかしいですよ」と指摘しても意味がない。

全世界の根本的にずれている相手に言いたい言葉。ただ、暖簾に腕押しだし、ずれている人に同じ言語で話しても伝わらないというのは多くの人の周知。そしてそういう人がいるのが現実で困っているのは周り。関わらなければ一番だけど、関わらないといけないときはどうすればいいんだろうな。

スースーしちゃうような名前だなぁ。

本書で探してほしい。ただの下ネタ。

思い出を勝ち負けで分けたらいけん

深い言葉。母の言葉だったと思うけど、いろいろ含めてその人。いいことばっかりじゃないし、悪いことばっかりでもない。人生いろいろ。

高齢者施設は「何もしなくてもいいですよ」というのを最大の謳い文句にしているが、「何もしなくてもいい」とは「誰からも感謝されない」と同じ意味ではないか

めちゃくちゃ心に刺さった。高齢者施設にとって利用者はお客さん。だから何もしなくてもいい。確かに事故やリスクは伴うけど、何もしてもらわないことで、安全かもしれないけど、人の尊厳や生きていく意味についてはどうなんだろう。

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「ひこばえ」を読んだ感想

後藤さんは正直鬱陶しいと感じてしまったけど、物語には必要な人だったかなと思う。神田さんと西城さんのキャラ設定は素晴らしい。登場人物がとにかく自分本位の印象でイラッとする部分もあったけど、個性的。ただ、嫌われお父さんについて真剣に考えているそれぞれの思いがたまらなかった。

何より、文章が優しくて読みやすい。優しくなかったのは姉だけだったな。ものすごい強い姉だった。ただその姉もじぶんの感じたことや母を大切に思う心が強すぎるという別の正義を持っていたのが最後にわかった。

主人公の洋一郎が老人ホームで働いているというのが、ある意味新鮮で面白さを感じた。秀逸。

個人的に、読んでホッとするような内容だった。きれいにまとまりすぎているというのもあるけどよかった。

「ひこばえ」木の切り株から新しい若い芽が生えてくること。

1本の古い木が切り倒されることで、萌芽更新が進み新しい芽が生まれるだけでなく、地面にも太陽の光が届くことから、草が生え、花も咲く。虫も増え、小動物もやってき、森の世代が先に進む

切り倒された大木は、新芽や森の変容を見ることはないが、自分がいなくなっても新しい生命が育ち続いているということ

老い方を語るにはまだじぶん自身は少し若いけど、今後必ず考えなければいけない時期がきます。そのときにどう年を重ねていくかを真剣に考えようと思った。

父として子どもに何ができるのか、繋いでいくような大層なものではないですが、少しでも何かを残したい。じぶんの人生を知ってほしいと思うような素敵な話だた。

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終わりに

ありがとうと言われると「生きている」「必要とされている」と感じることができる。老人ホームで働くじぶんはどれだけ「ありがとう」と言えているだろうか。家族に伝えているだろうか。

また家族ではなくても、利用者と職員だとしても「ひこばえ」はあるのではないかなと感じた。

偶然知った本だったけど、この本は買おうと思った。家に置いておきたいと感じてしまう名作。いつか誰かが知ってくれることを願って。

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